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空見る三角窓

運命の出会い

 ワーゲンはほしい、しかし親は許してはくれない。そんな状態で年を越した。
 2年間通った専門学校も卒業まで残り3ヶ月。高校での堕落とは正反対にがんばった甲斐あって2年間学科トップの成績で、しかも高校まで体が弱くよく学校を休んだりした私が無遅刻無欠席を達成した。
 そこで事態は急変した。「そんなにほしいなら、好きにしろ」要は勝手にしろ、ということだ。そうとなれば早速市場調査である。当然買うなら専門店のほうが後々のメンテナンスも安心である。以前見に行ったお店に父親を強引に連れだした。冬の寒い中、ワーゲンが数台並んでいた。フードにルーバーが付いたキャル・ルックの高年式、そしてこのとき初めてオーバルウインドウを目の前で見た。とても感激であったが、美しいかもしれないけど、後方視界の厳しさは全くの度素人には辛いだろうなぁ、と思い他に目をやる。すると水色の低年式が横に止まっていた。

 1963年式1200cc。「こ、これは?!」まさしく、以前見に来たとき入荷予定だった車である。低年式の特徴である、フェンダーに沿って斜めにつくヘッドライト、小さなウインカー&テールライト、鳥のくちばしのような小さなライセンスランプ、そして北米仕様のダブルバンパー・・・。オリジナルパーツではないものもついてはいるだろうが、特にカスタム仕様ではないノーマルの車。まさに私の求めていた形の車が目の前にいるのだ!
 お店の人に中を見せてもらう。スピードメーターと燃料計のみのボディと同色のパネル。現代の車からすればあまりにも頼りない装備かもしれないが、これで特に走る上で困ることはない、本当に最低限のものしかついていないのだ。
 そしてセルを廻してみる。キュルキュルキュル ブォォン!パタパタパタ・・・・この音!空冷水平対向の独特な音をさせてエンジンがまわった。感動の瞬間であった。

 だんだん父も気がのってきたのか、店員と話し出した。「ほかに交渉している人とかいるのか?」すると、話をしている人もいるが、具体的な話はしていない、という答え。父は「これがいいのか?」と私に尋ねた。「うん」「じゃあ、これ買うか。」いきなり商談が成立。しかし、まだ貯金は25万くらいしかないのだから、私にはどうにも出来ない。でも親が貸してくれるということになり、とりあえず見に行っただけなのに買うことになってしまったという驚きの展開となった。
「夢じゃないんだ」

 それから1ヶ月半、春分の日。恒例の墓参りである。亡き祖父に報告する。「今日ワーゲンを引き取りにいきます。」もし、ワーゲンを買ったなら、祖父を乗せたいという想いは、残念ながら2年前に逝ってしまったため実現はしなかったが、これからはじまるワーゲンとの生活に期待だけがふくれあがっていた。


6vフェンダー  フェンダーに沿って斜めに付くヘッドライト。あこがれのスタイルでした。


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