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空見る三角窓

夢と現実

 中学時代も相変わらずほしい車はワーゲンだった。しかし、周りを見てみればちょうどホンダ・プレリュードが大流行。そして、ナイトライダーのテレビ放送が始まり、ナイト2000のベースとなったトランザムがとてもかっこよく見えた。
 このころすでに辺りを走るワーゲンはほとんど見られなくなっていた。私自身も車以外のもの、旧日本軍の戦闘機や艦船に興味をもってしまい、普段の生活でワーゲンを意識することは薄らいでいたと記憶する。

 再度ワーゲンに注目するようになったのは高校に入ってからだ。ちょうど新聞で「メキシコで生産されているカブトムシの生産を年内をもって終了する」という記事が出たのである。
 この記事で衝撃を受けた点が2つあった。特に意識してはいなかったのだが、まだワーゲンが生産されていたこと、そしてその生産を終えるということ。そこから第2のVW病が発生する事になった。ちょうどこのころ我が家の車はもうじき10年たつ初代FFサニー。買い換えの時期が近いはず。「ワーゲンがなくなっちゃう。サニー売ってワーゲンにしようよ。」と、父親に言ってかなり怒られたりした。親にしてみれば今更時代遅れのこの小さな車など興味を持つはずがない。

 だんだん免許が取れる歳になるにつれて、ワーゲンに対する気持ちが大きくなる。しかし、親には絶対その考え自体を許してもらえなかった。まず、我が家は中古車を嫌っていた。かつて我が家にあった、中古の軽自動車。ちょうど550ccになった頃で誇らしげに550のエンブレムが付いていた、この車の印象が悪かったからである。
 この車は買った後、調子が悪くて何度も整備工場に入退院を繰り返した。最終的にエンジンまで載せ変えることもしたのだ。それでも調子が悪くて手放したのだが、それがきっかけで「中古車は変な癖が付いていたりして、結局高くつくことがあるから、新車の方が安心だ。」という結論を出してしまった。それ以来、車は新車で買って長く乗る方向をとるようになった。
 このころは新聞に書かれたことが本当でワーゲンは中古車じゃなければ手に入らないと思いこんでいたため、当然買うのは中古車。しかも生きた化石ともいえるワーゲンにはなおのこといい印象を感じなかった。実際にワーゲンという車を乗ったことのないため間違った知識も持っていた。
「ワーゲンは鉄板が厚いから重たいので燃費が悪い」
「重い割にエンジンが非力でスピードが出ない。」
「小さくて室内が狭い」
「古いから故障が多い」
など悪いことばかりで、この車はいいところがあるとするなら、鉄板が厚いから外側だけは頑丈だということ、そして、
「絶対にあんな車を買うことはゆるさん」とまで言われていた。

 そこまで親に反対されると、ワーゲンを手に入れることは不可能に感じるようになった。一時的にゴルフ2で妥協しようかと思ったこともあった。デザインではカブトムシをのぞけば結構好きな形であったから。中古も結構出回っていたので、中古の印象さえどうにかすれば買えそうであった。近所で実際乗っている人もいたので見た目よりもかなり快適な車ということは解っていたこともある。

 高校を卒業し、免許を取った頃から、具体的に自分が近い将来乗るであろう車についてさらに真剣に考えるようになった。カブトムシはほしい。しかし、現実を見るなら、ゴルフ2である。とりあえず中古でゴルフを買って、いつかきっとカブトムシに乗る日を夢見ていた。しかし、そんな気持ちを無惨にもうち破る事件が発生した。ゴルフのモデルチェンジであった。ゴルフ3、これを見たときゴルフに対する考えが変わってしまったのである。
 自分のイメージしていたゴルフとは丸いヘッドライトは絶対はずせなかったのだ。リアのデザインは前作のものを引き継いでいたのでいやではなかった。しかしフロントのデザインはどうしても気に入らなかったのだ。新車でなければだめだ、といわれた時を考慮して、現行でも手に入る、ということをアピールするつもりだったのであのモデルチェンジは自分にとっては納得しない。ただ、新車のゴルフの値段がどんなものかすら、考えたことがなかったという無謀ともいえる考えであったことは後から感じるのではあるが・・・。
 ほかに興味を示す車はローバー・ミニだった。これなら新車で手に入る。小さいので置く場所を確保するのも何とかなりそうだ。カブトムシと並んで、ミニはフルモデルチェンジをせず、作り続けてきた数少ない車だった。
 国産車で見ると、三菱ジープ、スズキジムニー、トヨタ・センチュリーだ。共通していえることはデザインの変化が少ないもの。私はいつまでも変わらない形というのが好きなのだ。新車で買ったとして、10数年乗り、また同じ車を新車で購入するという手段をとりたかった。今となってはジープは生産終了、ジムニーはフルモデルチェンジをしてデザインは自分の求める方向からずれ、センチュリーはついにモデルチェンジをしたものの、前作のイメージをうまく残しているので好感が持てるが、好きだ、というだけで買える身分ではないことは最初から解りきっていたことである。
 ゴルフをやめるとするとセンチュリーをのぞく、ミニ、ジープ、ジムニーというところが購入の候補に挙がっていた。カブトムシは心の中ではおそらく一生所有できない車であろう、とこのころは残念ながら感じていたのだった。


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