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空見る三角窓

幼い頃の記憶

 「大きくなったら、ワーゲンに乗るんだ。」

 ある日、埼玉に引っ越した幼なじみが実に10数年ぶりに我が家を訪ねた。残念ながら私は仕事に行っていたので久々の対面はできなかったが、母は彼といろいろな話をして楽しかったそうだ。最後に母は車庫に案内した。中にたたずんでいるその物体を見て彼はつぶやいた。「まあちゃん、小さいときからワーゲンに乗るんだ!って言ってたもんなぁ」
 私は物心ついたときからこのように言っていたという、重病患者だったのだ。

 大きくなったら何に乗りたい?小学生時代友達とこんな会話をした。当時は終息しつつはあったが、スーパーカーブーム。フェラーリや、ポルシェ、ロータスなどと言う中に「ワーゲン」と私は答えた。「あんなぼろくそわーげんのどこがいいんだ?かっこわり~」などとバカにされたものである。ワーゲンがかっこわるい?そんな風に感じたことは一度もなかった。しかし、かっこいい、とも思わなかった。
 昔の車はどこか”顔”に表情があった。丸いライト、独立したバンパーに黄色いウインカーが埋め込まれ、ライトは目、バンパーは口という感じに見えた。その後丸いライトは姿を消していき、四角いライト、さらには独特の変形ライトと変わっていった。車の表情はだんだん冷たくなり、無表情になっていった。今の車に眺めているだけで気持ちが安らぐ顔をしたものはほとんどいない、と私は感じる。
 表情があった当時の中でもとりわけ、不思議な心地よさ漂う顔をした車、それがワーゲンだったのである。1日眺めていても飽きることのない愛嬌あふれる顔。さりげなく止まっていても、なぜか惹かれる後ろ姿。フェラーリやポルシェ、ロータスなどでは味わうことのできない何かを私は感じたのであろう。

 初めてワーゲンと出会ったのは物心つくかつかないかの頃に与えられたミニカーである。赤と白のそのミニカーは、もともと姉に与えたものらしい。母が「お姉ちゃんになったんだからまあちゃんにあげなさいね。」と、言って私のものになったそうだ。姉もそのワーゲンが大のお気に入りだったらしいが、そう言われれば仕方がなかったのであろう。
 私の財産になったワーゲンたちは、とても小さなボストンバックにほかのお気に入りのミニカーとともに入れられ、常に持ち歩いた。そのことは私自身もよく覚えている。病原菌は今も我が家にある、この、ぼろぼろになったミニカーだ。
 当時、近所でワーゲンに乗っていたおばさんがいた。私の記憶にあるのは白の高年式。外に止まっているのを見かければよくのぞき込んだりした。話によればワーゲンを何台か乗り継いだというから、かなりのワーゲン好きである。その後ゴルフ2を10年くらい乗って、今はオペルに乗っている。お気づきの通り、柳瀬から買い続けているのである。
 話を戻し、その白いワーゲンにあこがれていたものの、実車に乗せてもらったことは一度もなかった。別にそのおばさんとは疎遠というわけではなく母の話友達で、たまに家に遊びに行ったり今でもしているのだが。おばさんちの子供たちとは年が離れていたのであまり遊んでもらったりした記憶がない。もしも近い年齢の子供がいたら、乗せてもらう機会があったのではないだろうか?今思えば残念である。

 小学の中学年くらいの時は中古車屋さんにもよくワーゲンが売っていた。今でも覚えているのは相場が45万円くらいだったということ。当時我が家にあったスズキのアルトは「48万円」とCMで有名だったのだが、軽自動車位の値段でワーゲンが買えるんだ、と思っていた。自分の理想の車が比較的値段の安いものだということは、それを手に入れることは決して難しいことではない。私の夢はどんどん広がっていった。

 「大きくなったら、ワーゲンに乗るんだ。」
 ドイツ本国で生産終了して数年が経っていた・・・。


欲しかったワーゲン  小さいとき、ほしかったワーゲンは黄緑色の 高年式。低年式はほとんど見なかったからでしょうか。


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